●商品が売れない理由は「買う理由」がないから?
・売れないときほど、お客さま側から見てみる
「いい商品をつくっているのに、なかなか売上につながらない」
「もっと自然に、お客さまから『ほしい』と思っていただける流れをつくりたい」
経営者なら、一度はそんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
商品が売れないと、わたしたちはつい
「売り方が悪いのかな」
「伝え方を変えたほうがいいのかな」
「商品そのものを見直したほうがいいのかな」
と考えてしまいがちです。
もちろん、それも大切です。
でも、もうひとつ見てほしい視点があります。
それが、「お客さまの側に立って考えること」です。
どれほどいい商品でも、お客さまのなかに「いま、これを買う理由」がなければ、購入にはつながりにくいものです。
興味はある。
いい商品だとも感じている。
いつかほしいとも考えている。
それでも、「いまではなくてもいい」と感じたら、人は行動を先送りします。
商品が売れないときは、商品をつくり直す前に「お客さまがいま買う理由を伝えられているか」を確認してみてください。
売る側が「なぜ買ってほしいのか」を考えるのではありません。
お客さま自身が「だから、わたしはいま必要なのだ」と納得できる理由を見つけられているか。
ここに目を向けるだけでも、販売の見え方は大きく変わります。
・人は商品だけではなく「意味」があるから動く
日常を振り返ってみると、「買う理由」はたくさんあります。
春になったから、新しい洋服を買う。
結婚式へ出席するから、靴を新しくする。
友人の誕生日だから、プレゼントを探す。
お正月だから、少し上質な食材を用意する。
期限が近いから、申し込みを決める。
商品そのものは以前から存在していても、何かのきっかけによって「いま買おう」という気持ちが生まれるのです。
つまり、人は商品の機能や品質だけを見て購入しているわけではありません。
自分にとって意味のあるタイミングと商品が結びついたとき、行動しやすくなるのです。
わたしがジェリー・オブライエンの『「買う理由」の作り方 どうしても欲しいと思わせる17のアイデア』(ダイレクト出版)という本を見たときも、あらためて「買う理由は大切だな」と感じました。
経営者は、商品の魅力を伝えることには一生懸命になります。
けれど、「なぜ、いま必要なのか」まで伝えられていないケースは少なくありません。
でも、お客さまが動くのは、商品の魅力を理解したときだけではなく、自分にとって買う意味が生まれたときです。
ですから、すでにある商品が、お客様にとってどんな意味を持つのかを考えてみましょう。
それだけでも、届け方の選択肢は増えていきます。
・「買う理由」はひとつではない
同じ商品を見ても、心が動くポイントは人によって違います。
キレイデザイン協会では12の個性を扱っていますが、人によって物事の受け取り方が違うことは、販売にもあらわれます。
たとえば、商品が生まれた背景や、つくった人の思いに共感して「応援したい」と感じる方がいます。
複数の商品を比較して、機能や価格を確認し、「これなら自分に合っている」と納得してから選ぶ方もいます。
見た瞬間の印象や話題性に心が動き、「楽しそう」「みんなが持っているから使ってみたい」と感じる方もいます。
どれが正しいという話ではありません。
お客さまによって、「ほしい」に変わる入口が違うということです。
経営者が考えたいのは、ひとつの売り文句を全員に届けることではなく、異なるお客さまが価値を感じられる入口を用意することなのです。
たとえば講座であれば、講師の思いや理念を伝える。
具体的に何が学べるのかを示す。
受講後にどんな変化が期待できるのかを見せる。
開催のタイミングや募集背景を伝える。
このように、同じ講座でも、伝え方はいくつもあります。
ひとつの商品が持っている価値を、さまざまな角度から伝えていきましょう。
・「いま買う理由」を自然につくる
買う理由を考えるとき、わかりやすいのが「タイミング」です。
季節。
記念日。
イベント。
新生活。
年度の切り替わり。
キャンペーン。
募集期間。
このように、人は節目があると行動を起こしやすくなります。
運気や新月、満月といったタイミングも、そこに意味を感じるお客さまにとっては、行動するきっかけになるでしょう。
ただし、ここで大切なのは、無理に焦らせないことです。
「今日買わないと損です」
「残りわずかだから急いでください」
と不安を大きくして売る方法ばかりでは、長く続く信頼関係にはつながりません。
本当に期限があるなら伝える。
季節だからこそ役立つなら、その意味を説明する。
いま始めることで得られる価値があるなら、わかりやすく知らせる。
それで十分です。
買う理由とは、お客さまを急かすためのものではなく、「なぜ、いま選ぶことに意味があるのか」をわかりやすくするものなのです。
納得して選んでいただくほうが、その後の満足にもつながります。
・高額商品ほど「自分を納得させる理由」が必要になる
価格が高くなるほど、お客さまは慎重になります。
「本当に必要かな」
「いま申し込んでいいのかな」
「家族に何と説明しよう」
そんなふうに考えることもあるでしょう。
高額な商品だから迷うのは、とても自然なことです。
だからこそ、「価値があります」「おすすめです」と伝えるだけでは十分ではありません。
たとえば、
「半年後に新しい事業を始めるから、いま学んでおきたい」
「来年から働き方を変えたいから、準備を始めたい」
「ひとりで悩み続けるより、専門家の力を借りたい」
というように、お客さま自身が自分の人生や事業と商品を結びつけられることが大切です。
お客さまが自分のなかにある必要性へ気づけるよう、判断材料を丁寧に届けていきましょう。
価格が上がるほど、必要になるのは「なぜ自分に必要なのか」をお客さま自身が納得できる情報です。
価格だけを上げるのではなく、その価格を払ってでも選ぶ意味まで設計する。
そこまで考えることで、販売は単なる「売り込み」ではなくなります。
お客さまが、「いまの自分に必要だから選んだ」と納得できる販売をつくること。
それが、無理に売り込まなくても選ばれ、長く信頼される経営につながっていくのです。





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